ウラが革の襟に付いた整髪料
部分的に革を使用してるコートです。
具体的に記載しますと、革を使用してる部分は以下の4箇所。
裏地のパイピング。
ポケットのフラップ。
ポケットのマチ。
襟のウラ。
革以外の素材は撥水性の高いナイロンです。
ブランドはエルメネジルドゼニア。
当店のお客様にもこのブランドが大好きな方がいます。
襟に付着した整髪料。
テカテカしてとても気になるとの事。
しかも、何度クリーニングに出しても全く落ちてこない事をお伺いしました。
高級ブランド品。
多分、購入価格も相当高額ではないかと思います。
そして、異素材の組み合わせで最も厄介な革がシミの裏地にあります。
洗濯絵表示は勿論、全て×。
シミのある表地と革のある裏地。
バラバラにしてしまえば、どんなに染み抜きがしやすいだろう・・・
なんて思っても仕方ありません。
他店では当然ドライクリーニングはしてるだろうと思いました。
ドライクリーニングでは、全く落ちないシミなのか?
テカテカしてるシミ。
油性の部分だけドライで抜ければシミも変化するはず。
等と考えながら、まずは革部分からの移染を防止する作業から始めました。
その後、前処理して短時間のドライクリーニング。
結果はテカテカのまま。全くよくなっていませんでした。
次は染み抜き台での染み抜き。
どうしても裏地の革にナーバスになる作業ですので、なるべく短時間で済ませてみるも・・
結果は惨敗。
うわぁ
これは容易には落ちないぞ。
もし、裏地に革がなくて裏地も表地と同素材のナイロンだったら・・・・
ポケットや裏地のパイピングなんか革が付いててもいいから、染み抜きする部分だけでも革がなかったら・・・・
こんなシミぐらい、容易くやっつけてやるのに。
ココまでの作業をして、無理ってお断りするのはとっても簡単です。
やれる事はやってみましたが、これ以上は・・・とか
革の劣化や色移りの恐れがあるので、これ以上は・・とか
それに、修正しようといくら手間をかけて頑張っても、お客様にお渡しする状態。
つまり結果が全てなんです。
無理さえしなければ・・・・・
あそこでやめとけば・・・・・
途中経過をお客様は評価してくれません。
結果が悪ければ、依頼しなければよかった。
我慢して着ればよかった!
なんて事になるかもしれません。
最悪なのは、一か八か!えいっ!なんて度胸試しの末に、お預かりした際よりも明らかにコンディションを悪化させてしまい、とてもじゃないが着用は無理。
弁償しなくてはならない最悪なケース。
しかも、ゼニアのコートって2・3万じゃないっすからね。
そんな事を総合的に考えて、「無理です」ってお断りするお店の気持ちも実によく解ります。
当店も魔法が使える訳ではありませんから。
勿論、技術的にハイレベルな事も必要です。
でもその前に・・・
お客様とのカウンセリングがとっても重要なんです。
裏地の革に配慮した優しい染み抜きでは、整髪料のシミが抜けない事。
キツイ染み抜きは、裏地の革にはリスキーなこと。
お客様の物を預かる。
これだけで責任が重いのに、かなりリスキーな染み抜き。
しかも、風合いよりも汚れ落とし(染み抜き)を重視した作業となるとやはり、お客様の同意なしでは出来ません。
実は、裏地の革の染色補正までするつもりだった私ですが・・・
何とか、いい感じで染み抜きに成功致しました。
洗えないなんて知らずに購入してしまった。
ブランド品で高かった。
染み抜き出来ないの?
もう、着れないの?
何件かに断わられてしまい・・・たまたま、私の手元に送られてきたアイテム。
蘇ったときは、お客様と同じぐらい喜んでいるんですよ。
あそこで○○をすればよかったかな?
反省点や作業の詳細を綴ったノートとHDDのビフォーアフターの写真。
そして、お客様からの嬉しいコメント。
成功体験と共に、増やし続けていける様に頑張ります。
最後にゼニアはやっぱり良いなぁ。
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