購入したばかりの高級スーツ(イタリア製)にほんの少しだけお茶の雫が付いた。
乾燥したら全くシミになっていない。
だけど・・・
間違いなくお茶をこぼしたんだから、何もしないまま収納して後になってシミになったりしませんか?
じゃ、一度着た事ですし、クリーニングしておきましょう。
お茶をこぼした部分をアバウトでいいから教えてください。
いやいや、クリーニングはしなくないんです。
凄く高級なスーツだから。
今はシミになってないけど、後でシミになったら嫌なので、具体的に何をして収納すれば安心かをお伺いしたいのです。
コチラのお客様は、自分で「今」何をすればいいかの聞きたい様です。
具体的にお客様が自宅で出来る事。
それは、クリーニングに出すこと以外何も教える事が出来ずにいました。
どんなスーツなのかを、想像してのアドバイス。
困難です。
今現在シミになっていない部分の心配をする。
購入したばかりのブランド品。
そんな気持ちも解らないではありませんが、やはりプロに依頼するのが一番です。
安心してお任せ出来るプロ。
クリーニングってサインを出してるお店全てが当てはまるのではあれば、わざわざ県外から私に電話なんてこないでしょう。
イタリア製と言えば・・・
同じ様な感じでコーヒーのシミを自分で抜こうとして輪染みになったとのご相談が昨日ありました。
同じ様な超高級なスーツです。
コーヒーはシミは自分で抜いたけど、輪染みになってしまった事を大変気にしていました。
当店に問い合わせ頂く前に、二軒のクリーニング屋さんに依頼して、結果に満足していないようです。
詳細をお伺いすると、着用していても、殆どの人には、見えない(分からない)程度だそうです。
「ここに、ほら・・・ここから、この形で、"輪染み”が、見えるでしょう?」
シミを見つける目的意識を持って注意深く時間をかけて、色んな方向から眺めてみて、初めて確認出来る位。
客観的には「だれが見ても解りませんよ」って言われるってお客様が書いていました。
だけど、ご本人様はわかります。そして凄く気になるそうです。
私は、当店の前に依頼した二軒のお店を知りません。
ただ、どんな作業をしたのか・・・
どんな気持ちだったのかをイメージしました。
キーワードはイタリア製の高級ブランドスーツです。
20万以上の品で使用感も殆どなく、まだ新品に近いコンディション。
購入したばかりの状態では、特に小さなシミも気になるかと思います。
お客様のお気持ちはお察し致します。
元々のコーヒーのシミは1mm程度の小さな小さなシミだったようです。
お客様は自分で染み抜きににトライし、成功した事を一時的に喜んだ事でしょう。
そして、広範囲の輪染みが出来たのを確認すると、自分でやった染み抜きを凄く後悔したと思います。
綺麗にしようとする行為が、逆効果だったわけです。
結果的に「しない方がよかった」でしょう。
そして、クリーニングに出して落ちればいいのですが、ごく僅かだか認識出来るとのこと。
一般的に「染み抜きが得意です!」と言ってるお店でコーヒーのシミを抜くぐらい簡単だと思うのです。
では、どうして当店にも相談があったんでしょう?
3件目ですよ。しかも県外だし。
ちょっとコチラの画像を見てください。
まだ処理する前に撮影しています。
全く違うお客様のスーツです。
ブランドはエスカーダです。
物凄く高額なスーツではないかと推測しています。
スカートのスソをまつってある部分をアップで撮影してみました。
どうでしょう?
まるで仮縫いなの?って言うほど、まつり方がソフト(適切な表現がわかりません)です。
軽く引っ張れば、ホツレてきそうなほど弱弱しくデリケートです。
もし、これが中学に進学する娘さんの制服のプリーツスカートだったら・・・
確実にクレームかもしれません。
別のお客様からは、どうして私のドルガバ(ドルティエ&ガッバーナ)のボタンはこんなに容易に取れちゃうの?
そんな事を聞かれた記憶が蘇ります。
そういう付け方だからなんです。
高級なイタリア製(ヨーロッパブランド全般)はデザインは見事です。
だから着用時のシルエットがとってもカッコよく人気なのもわかります。
でも、「メンテナンスのしやすさ」に関しては必ずしも価格にリンクしていません。
高いもの=ケア・メンテナンスも楽
これは、ヨーロッパ製のブランド品の場合、逆のケースが多いです。
つまり、メンテナンスはかなりデリケートに扱う事が必要なんです。
お客様は高級なブランドには詳しくても、メンテナンスに関しては知らなくて当然です。
それでは、販売店で教えてくれるか・・・と言えばNOではないでしょうか。
肝心のメンテナンスの事をお知らせ出来るのはクリーニング屋しかいないと私は思っています。
このエスカーダのスーツ。
洗濯表示は勿論ドライクリーニング。
水洗いと比較して、圧倒的にデリケートな洗浄方法です。
このスーツの場合は、汗をかいたので水洗いしてくださいと言われたとしても、かなりためらいますね。
エスカーダを沢山所有してる常連様。
私を信頼し、作業内容全てを「お任せ」下さってるお客様です。
他のエスカーダのニットアンサンブルなんかは脇の汗染みを除去するための復元加工(水洗い)をしなければ綺麗にならない場合もあります。
昨日、お渡ししたアイテムも水処理してあります。
風合いやデザインを損なう事無く、修正出来ると判断出来るものと、風合いを重視すれば修正は困難なモノがあります。
ある程度のリスクと、かなりダメージの大きなリスク。
基本的には、汚れ落とし(染み抜き)よりも、風合いを重視した作業をしています。
とにかく、デリケートな海外ブランド品は取り扱いには細心の注意をして、風合いをキープ出来る様に優しい作業内容をしたい!
そんな風に考えるのは私だけはなく、殆どの同業の方が同じ気持ちかと思います。
勿論、お客様の気になる輪染みは取ってあげて喜んで欲しい!
その気持ちはあります。
お客様は1mmのシミを抜こうとして、大きな輪染みになりガッカリ。
コーヒーのシミは抜けたけど、こんな輪染みが出来るならしない方が良かった!
って残念な結果を体験しています。
同様の事がクリーニング店にも当てはまります。
風合いは絶対にキープして欲しい!だってまだ新しいんですよ。
そう言われて、20万以上のスーツをお預かりし、かなりナーバスになって検品しないとわからない輪染みを抜く。
輪染みは取る事で、リスキーな作業をしてしまい全体の雰囲気が変わってしまった。
着用した際のシルエットやドレープも変わってしまった。
かなり慎重にデリケートな方法を選んだし、
プレスにもかなり時間をかけたけど、洗う前の状態には絶対に戻らない。
すると、お客様からも
「こんな風になるなら、クリーニングなんか頼まない方が良かった。」
勿論、クリーニング屋はお客様の要望に応えようと頑張ったのは事実です。
しかし・・・そんな途中経過は無意味。
お客様にお渡しした際の状態。結果が全てでです。
どんな言い訳をしても、事後報告ではNGです。
クリーニング店に必要なモノは沢山あります。
とても重要だと認識してる事にお客様とのコミュニケーションがあります。
豊富な知識で、事前に解りやすく説明をする。
お客様の気持ちになって、出来る事を説明する。
国産や中国で縫製されたスーツとイタリア製のスーツ。
マシンメイドでもハンドメイドでも、同じ扱いはできない事がある事をご了承下さい。
全ての画像はクリックで拡大します。
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