麻100%黒のジャケット
肩から袖口まで、色が抜けてしまっています。
麻100%の女性のジャケットです。
色が抜けてしまった物は、染み抜きや全体漂白の復元加工で元通りには戻りません。
抜けた部分に色を付けてあげるしかありません。
完全に元通りにならなくても、着用出来るレベルまで修復して欲しい。
上記の画像が添付されたメールを受信して、宅急便で届きました。
どのくらい着用したんでしょうね。
タグの画像なんかを見ますと、文字がだいぶ薄くなっています。
紫外線で退色した部分だけが、凄く目立つのですがよく見ると、全体的に退色はしています。
色が黒なのであまり目立ちますせんが、脇の下にはうっすらと汗の染みもありました。
このアイテムは色が抜けやすいと直感しつつ、まずは全体漂白で復元加工です。
色止めの薬剤を使用するので、浴中に入れただけで「どばぁ~」なんて色は出ません。
でも、少しでも衣類を浴中で動かせば色が出るのが解ります。
ほんの数分の漬け込みで浴中の色が変化してきました。
赤っぽい黒です。
イメージしたよりも、沢山色が出そうだと判断して早めに浴中から出しました。
でも、無色透明だったのがこんな色になるんです。
洗剤を入れた状態で色が出るものでも、洗剤なしの水ではあまり色は出ません。
だから、家庭で洗濯してる時に色が出てるのを見つけたら、洗剤がついたまま脱水しないでスグに冷たい水ですすぐ事をお奨めします。
水だけで色が出る様なモノも稀にありますけどね。
話を戻します。
全体の汚れや汗染みを全体漂白で除去してから、染色補正の作業を開始しました。
実は、「黒」ってとっても難しい色なんですよ。
しかも、今回はとっても広範囲ですしね。
3原色ってのは赤・青・黄色の三色です。
それに黒(グレー)をミックスする事で色々な色を作って、染色補正をしてるわけです。
黒って微妙な色の違いも結構目立つんですよ。
難しいとされてる色なので、黒はやりたくない!って方も多いと聞いたことがあります。
正直な話。私はどの色もしたくないです(笑)
染み抜きの場合は、地色はそのままで染みだけを綺麗に抜く事に全身全霊をかけてるわけです。
でも、今回の様に私が染み抜きして脱色してしまったのではない場合、色修正以外は修復出来ませんからね
宅急便で送って下さるお客様にとっては私が「最後の砦」だと自覚して仕事をしてるので中途半端な事は出来ません。
いくら時間がかかっても、修復出来れば大満足です。
今日のビフォーアフターはお客様から頂いた画像も使います。
私の撮影したビフォーアフターもご覧下さい。
お客様が当店に期待する事は「着用出来る様にして欲しい!」ってことです。
完全に元通りにならなくてもいいので・・・って事でしたが、私の作業は「完全に元通りするつもり」での作業です。
これは染み抜きも一緒です。薄くなればいいや!じゃなくて完全に染みを抜く!です。
それでも、完全に抜けない染みがあるのが現実です。
以前、このジャケットは広範囲に脱色していた事をよく知ってる方が、近距離でよく見れば染色補正した色の段差(違和感)が解るかもしれません。
でも、通常の着用に関してはまず問題ないでしょう。
クリーニング代と染色補正で1万円です。
こんな風になっちゃった!って諦めて捨てる方。
クリーニング屋に相談したら、「無理です!」って断わられて諦めて捨てる方。
専門店で見積もってもらって、費用対効果を考えて諦めて捨てる方。
なんとしても修復して欲しいって思う方。
最後の方のお役に立てれば嬉しいです。
全ての画像はクリックで拡大します。
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